引きこもりでも旅をする②

帯状疱疹以来、親との会話量も増えて旅行に連れ出される機会も増えました。自分としてはあまり乗り気じゃないんですが親が口うるさいのでやむを得ずって感じです。

温泉好きな母は身体障害者でもあります。足腰を痛めて人工関節を入れているため、杖と荷物を持つ人がないと遠出は無理。そこで頼りにされるのがこの私。

身体障害者の母と精神障害者の娘がコンビを組んで旅をするわけです。主に荷物運びは娘が担い、宿でのチェックインやチェックアウトは母担当。

懸賞ものでよく箱根関連のを当てるので、自ずと行き先も箱根になる事が多かったです。箱根彫刻の森美術館芦ノ湖の海賊船に「はなをり」の宿泊券と我ながらよく当てるなぁと思っています。

彫刻の森美術館に行った時は霧雨が降っていて幻想的な雰囲気でした。館内のレストランで昼食を取ろうとエレベーターに乗ろうとした時の事。

先に乗っていた工事関係者の若い男性がエレベーターのドアを手で抑えて私達2人を待っていてくれたんです。母は杖を突いて歩くため、早く歩けないのを察してくれた様子。

それだけでも嬉しかったのに、「レストランは降りて右の突き当たりです」と親切に案内までしてくださいました。工事関係者なのに“おもてなし力”が凄いなぁと感心しました。

旅して良かったと思うのは、こういう時です! 箱根では他にも感謝しきれない出来事がありました。

その日は芦ノ湖を海賊船で周遊し、後は宿の最寄り駅の中強羅までロープウェイとケーブルカーを乗り継いでいく予定でした。

お昼過ぎに雷雲接近のためロープウェイが運休してしまい、急遽バスで強羅まで移動。ケーブルカーで中強羅にようやく到着。

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ところが、徒歩1分の宿までの道が分からない・・・・。案内板はなく、道は複数あるし、雨は降ってくるわで、どうしようと。

持っていた簡易地図を広げて母と話していたところ、強羅駅方面から坂を上ってきたアジア系の女性が「どこに行くんですか?」と訊いてくださいました。

どうも地元で働いている感じの外国人っぽかったです。 一緒に地図を見ながら「こっちは、ゆとりろ庵で・・・・」と教えてくれました。こちらから道を尋ねた訳でもないのに、優しさが嬉しかったです(*^_^*)。

結局、雨に打たれ迷いながらも宿に着く事ができました。でも、ただじゃ終わらないのがウチの母。なんとエントランスに入るなり、段差につまずいて大転倒!

音にビックリしてフロントの女性が奥から飛び出してきました。「大丈夫ですか~!」

いや、どう見ても大丈夫そうじゃない母。うつ伏せになって立てずにいる。眼鏡も吹っ飛んでいる。

母を起き上がらせてる間にフロントの人が白いタオルを2枚持ってきてくれました。気が利くなぁ・・・・と、ここでまた感心したのであります。幸い、ケガはありませんでした。

それから、源泉掛け流しをうたう温泉に入り、部屋に戻ろうとした時の事。狭いエレベーターが中華系外国人でいっぱいだったので私は乗るのを諦めようとしました。

その時ふと、何かが目に入りました。一人が腰の辺りで手招きの合図をしてるんです。驚きつつ一緒に乗り込みました。言葉は通じなくてもジェスチャーって意外といけるんだなと勉強になりました。

次の日は家に帰るだけの予定でしたが、またもや母がらみで事が起きました。チェックアウト後、強羅駅までの送りのマイクロバスに乗る事に。

強羅は基本、勾配のきつい坂。杖突きの母はヨタヨタと皆さんより遅れてバスにやってきました。お待たせしちゃって悪いなと思ってたところ、母が片足を上げるもバスに乗り込めずにいるんです。

筋力が弱って、もう片方の足が上がらない模様。先に乗り込んでいた私も荷物を手放せずに困っていたら、その瞬間、千手観音のように後ろの座席から複数の手が伸びてきました。

母が来るまで中国語でたわいなくおしゃべりしていた若者達でした。まさに救いの手! 母はその手で引き上げられて、無事にバスは出発できました。

私にとっては感激する出来事でした。アジア系(こと中華系)外国人旅行者のマナーって悪く言われる事が多いじゃないですか。そうではない方もいるよと言いたいですね。

国籍は分からなかったけれど、中国語を話していたので中国人か台湾人か香港人辺りでしょう。

その節は皆様、ありがとうございました。旅先でのご親切は忘れません。