平山郁夫が描いたシルクロードの世界観

子供の頃からのファンである日本画家、平山郁夫さんの作品を観るため、山梨県の「平山郁夫シルクロード美術館」へ行って参りました。

子供の頃、居間に飾ってあったカレンダーの絵がたまたま平山さん作のシルクロードのもので、それ以来、柔らかなタッチの表現に興味を抱いてきました。

広島出身で被爆体験もある平山郁夫さんの作品には仏教をテーマとしたものが多いんです。この前、鎌倉の国宝館や禅寺に行った事もあって、最近、にわか仏女の状態だと自負してたので、ちょうどいい機会になりました。

アジアの果ての島国である日本にまで伝えた仏教東漸の道と文化の西と東を結んだシルクロード

平山さんは1960年代後半から度々シルクロードの遺跡や中国を訪ね、極寒のヒマラヤ山脈から酷暑のタクラマカン砂漠に至るまでシルクロードをくまなく旅されています。

取材地点は、東は中国の上海から西はレバノンベイルートまで及び、イラクやシリアといった政情不安な国と地域にも足を運ばれていました。今だったら不可能ですよね?

美術館の1階には絵画のみならず、シルクロード関連の貴重な文化財も展示してありました。

中でも、私が目を留めたのが、パキスタンの仏像。パキスタンってアッラーのお国じゃなかったの?と思いましたが、あるんですね、仏像。お顔の彫りは深く、豊かな口ひげをたくわえているのが日本のと違うなぁと感じました。材質も木ではなく石っぽかったです。

本命の絵の方は申し分なく拝見させていただきました。満月の描き方がとても巧くていいなぁ・・・・とか、完成させるのに何カ月かかったんだろうとか。

2階には実際に使用された岩絵の具(孔雀石やラピスラズリ等、鉱石を砕いたもの)に加えて、幅が3m近い大作がワンフロアーの3辺の壁を埋めるように展示してあり、とにかく圧倒されました。

皆さんも、砂漠を行くラクダの隊列の絵だったら一度はご覧になっているかもしれないですね。日本画って、取っつきにくい印象があるかもしれませんが、間違いなく日本の宝ですよ。深い精神性に心打たれます!

またいつか再会したいと思って美術館を後にしたら、目の前に富士山が雲から顔を出していました。平山さんの文化に対する考え方を後世に残したいと思えたひと時でした。